とりあえずガムテで乗り切ろう?

先日、職場で布テープ(ガムテープ)を注文したところ、在庫が無いと言われたそうです。
1か月程前に起きた地震の影響らしいのですが、ガムテープ工場が被災したのでしょうか?
引っ越しシーズンに加えて、救援物資の梱包や、被災地の方の避難の荷造りで大量消費されているのでしょうか?
ひょっとして、被害を受けた家屋等の補修にも使われているのでしょうか?
で、思い出したのが20年以上も前の出来事です。

確か出張の帰りだったと思うのですが、当時地方都市に住んでいた私は、下りの東海道新幹線に乗っていました。
いつものようにボーっとしていたのですが、上りの列車とすれ違った時、バンッ!と大きな音がしました。
見ると、私のすぐ前の席の窓ガラスにひびが入っています。2重になったガラスの外側にひびが入っているようです。
直後に列車は減速を始めて停車しました。
「異音がしましたので停車しました。調査しますのでお待ちください。」みたいな車内放送がありました。
おそらくその場にいた全員で「ここなんですけど~」と思いながら待っていると、しばらくして車掌さんがやってきました。
ひびの入った窓ガラスを見た車掌さんは、いったん引き返して、ガムテープを持って戻ってきました。
「ガムテかよ!」心の中で突っ込んだのは私だけではないと思います。
問題の席に座っていた初老の夫婦らしい乗客に移動してもらい、窓の内側にガムテープを貼って、列車は運転を再開しました。
車掌さんの話では、上り列車とすれ違った時に風圧で石を舞い上げたらしく、相手の列車の窓にも被害があったようです。
運転は再開したものの、安全のため徐行運転でした。しばらくすると「三島駅で修理を行います」という車内放送がありました。
そりゃあそうだろ、日本が世界に誇る新幹線なのにガムテを貼るだけなんてありえない。
どうやって修理するんだろう?新幹線にふさわしいハイテクマシンが見られるのではないか?F1レースのピットクルーのような精鋭が作業をするのではないか?
期待は膨らみましたが、三島駅のホームで待っていたのはガムテープを持ったおじさんでした。
三島駅での修理の後も徐行運転が続いたのですが、遅れが大きくなり、途中駅で私たちは別の車両に移動させられ、本気の運転が始まりました。

おそらく、少なくとも当時はガムテープは新幹線の標準装備品だったのでしょう。
幸い今回のガムテープの不足は局所的なものだったらしく、ガムテ不足で新幹線の運行に支障が出るような恥ずかしい事態は避けられたようです。


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